10月 102014
 

東京新聞によると。

 原子力規制委員会は、九州電力川内原発が3・11後の新規制基準にかなうと判断した。その根拠は安心とはほど遠い。これだけで再稼働の免罪符になるのなら、安全神話の復活というしかない。

 繰り返したい。合格証とも呼ばれてはいるが、原子力規制委員会がまとめた審査書は、安全の“お墨付き”ではない。

 田中俊一委員長が「基準への適合性を審査した。安全だということを私は申し上げません」と明言してきた通りである。

 福島第一原発事故を踏まえ、昨年七月に施行された新たな規制基準を、技術的、科学的に見て、今その原発が満たしているかどうかを判定しただけだ。規制委の想定を上回る災害が、再び大事故を引き起こす不安はぬぐえない。

 規制委は「ほぼ世界最高レベル」と、川内原発の対策強化を評価する。本当にそうなのか。

 審査書案が公表された段階で専門家や周辺自治体などから、「甘さ」が指摘されてきた。

 例えば、火山対策だ。川内原発は、火山の集中地帯にあり「最も火山の危険が高い原発」と言われている。規制委は「観測によって噴火の予知は可能」と、九電の主張を丸のみにした。一方、「現在の火山学では極めて困難」と火山学者は否定する。

 技術や科学の物差しだけでは、判断できない要素もある。米国とは違い、規制委は住民の避難対策を考えに入れていない。

 福島事故後の新たな原子力災害対策指針に基づいて、川内原発から三十キロ圏内の自治体は、住民の避難計画を作成した。

 鹿児島県の試算では、全住民が圏外に出るまでに三十時間近くかかる恐れもあるという。病院や福祉施設の要介護者をどうやって安全に導くか。自治体は頭を抱えたままだ。

 審査書案の公表後、規制委は全国から意見(パブリックコメント)を募り、約一万八千件が寄せられた。「地震や火山への対策をもっと厳しくすべきだ」という声が目立った。

 外部の専門家からの指摘や国民の声は軽視されているようにしか、受け取れない。

 形式的に基準を満たせば済むという、規制当局と電力会社の甘い姿勢が福島の事故につながった。それを一掃するために、規制委ができたのではなかったか。

 このままでは規制機関への不信が再び募る。不信と不安を残したままの合格証には価値がない。

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